妖精姫ともふもふな妖精猫の王様~妖精の取り替え子と虐げられた王女は猫の王様と冒険がしたい~

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 カテリアーナが近づくと黒猫は「シャー!」と威嚇(いかく)してきた。

 よく見ると足に怪我を負っている。左の後ろ足が何かでひっかいたのか、えぐれていて痛々しい。

「ひっかき傷ですね。森の獣にやられたのかもしれませんね」

 追ってきた護衛騎士の声がカテリアーナの頭上から降ってくる。

「傷の手当てをしてあげましょう。離宮に連れていくわ」
「え? 連れて帰るのですか?」
「このまま放っておけないわ。また獣に狙われるかもしれないし」

 黒猫を抱き上げようとカテリアーナが手を伸ばすと、黒猫は毛を逆立てる。

「大丈夫よ。怪我の手当てをするだけ」

 にっこりとカテリアーナが笑顔を向けると、黒猫は紫の瞳を見開く。カテリアーナを観察しているようだ。

「あら。あなたきれいな瞳をしているのね。まるでアメジストみたい」
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