仕事終わり。17時45分。

18時を過ぎると延長料金がかかる。

私は急ぎ足ですぐ近くの保育園へ向かう。

小さな保育園。
ビルの1階と2階に入ってる。

迎えに行くと、子どもたちはテレビを見て各々親を待っている。

先生が私に気付く。

「さくらちゃーん、お迎え来たよ〜。」

その言葉だけで咲良がパッと嬉しそうな顔をして、慣れない足取りでこっちに向かって歩いてくる。

時々、こんなにまだ小さな子を預けることにグッと胸が痛む。

公園で遊んでる親子を見ると、すごく苦しくなる。

「咲良ー」

私が呼びかけると、すごく嬉しそうに向かってくる。

ごめんね、今日ちょっと遅くなっちゃったね。

咲良を抱っこすると、大荷物を肩に掛ける。

「咲良ちゃん、今日シール貼るのすーごく頑張ってたっくさん貼ってましたよー。」

同い年くらいの先生が優しい口調で教えてくれる。

嬉しそうな咲良の顔。

この顔だけは何が何でも守らないといけない。
咲良を幸せにするのが、私の義務だ。

咲良の小さな頭を撫でる。

まだ私はこの小さな子を守ることに一生懸命だ。

他のことは考えられない。

あの狭い部屋で2人で暮らしてるだけで精一杯。
それでいて幸せ。

私がパパにもママにもなるからね。

私は毎日毎日、同じことを自分に言い聞かせていた。

パパにもママにもなるし、寂しいなんて絶対に言わせない。

私は少し寒い風が吹く道を帰った。