元書店員ですが、転生したら貴族令嬢になっていました!

4.食事が美味しくありません!

 う――んと唸っていると、お盆に何かを載せてメイド風おばさんが戻ってきた。

「お嬢様、とりあえずこちらを」

 と、お盆ごと渡されたそれは――お皿の中にべちゃっと入っている謎の白い物体。お皿をそっと触ってみると暖かいのを感じる。暖かい……ものを確かに食べさせてねってお医者さんは指示していたけれども!?

「何ですかこれ」

「オートミールをミルクで作ったものです」

 あ、それ聞いたことあるな。外国では今の時代も食べるやつだ。ってもちろん食べたことないけど。とりあえずスプーンですくって食べてみる。

(……まずっっ)

 ほぼ無味。麦の香りしかしない。牛乳どこいった!? そんでもって食感最悪。なんだろう、一番近いのは…無味のコーンフレークが牛乳でふやけすぎた感じ、といえばいい?

「お嬢様は子供の頃からこちらが大好きで……これさえあれば何もいらないとおっしゃるほどでしたので、料理長に作らせてみましたがお口に合いませんでしたか?」

「……う、うん、ごめんなさい」

 かちゃんとスプーンを取り落とす。

(アリアナちゃんよ……こんなのが美味しい人生だったのかい……)

「残念です。では果物でもお持ちします」

メイド風おばさんが明らかに落胆した顔をしながらお皿をさげようとした。

「あ、ごめんなさい、食べるのは食べます! 作ってくれた方に申し訳ないですから」

 無味で食感は最悪だから好き好んで食べたくないが、それとこれとは話が別だ。頑張れば食べられる。そう言うと、メイド風おばさんは驚いた顔をした。

「ご無理なさらないでいいんですよ」

「いや食べ物を粗末にすると罰があたるって親に言われて育ったんで」

 私の答えにメイド風おばさんが何とも言えない顔をしたのには気づかず、無味のオートミールを平らげにかかった。

(いつまでここにいるか分からないけど、食事には期待するのはやめておこう……)

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