幼馴染に恋をして(心愛ver)

私(斉木(さいき)心愛(ここあ))が藤原海斗に初めて会ったのは小学校に入学する直前の3月。

入学と同時に新たにマンションに引っ越してきた。

入居して3日目にエレベーターが一緒になったのがはじめましてだった。
母が彼の母親に「今度、12階に引っ越してきました。」と確か挨拶したと思う・・

そこで同じフロアーで私より少し小柄な少年も私と同級生だと知った。
彼の第一印象は年下と思った事。ただそれだけ・・

入学式の後に集団登校が始まる・・
うちのマンションは大規模マンションの為マンション内の子供だけでのグループ。

朝、集合場所のエントランスに母に連れられて行くと、そこは一種のカオス・・

一年生から六年生の男女が集まっているのだからそれはもう凄く騒がしい・・

そして直ぐに気が付く・・私、アウェイだと・・

引っ越してきたばかりで幼稚園も保育園も違う・・
その小さなコミュニティに居場所は無かった。

その時、一筋の光明が差す。

その集団の中にエレベーターで会った男の子を見つけたのだ。

私は彼の隣にいそいそと向かい

「おはよう」と声を掛ける。

彼は私を見て「おはよう」とだけ返してくれた。

たったそれだけ。

それでも凄く安心した。

私はその日から彼の隣を陣取る事に精を出す。

何を話す訳でもない、可笑しな事を言って笑わせる事も無い。

そんな彼との時間はクラスも違うが私には癒しであって、
安心出来る時間でもあった。
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