私の好きな彼は私の親友が好きで
大学時代
石原 亮介、斎藤 省吾、安西 陽菜(ひな)、 私(高遠(たかとう)美月)は
大学近くの居酒屋で呑んでいた。
4人で週に1回はこうやって飲み会を開き、騒いでもう4年目。
大学で知り合って、意気投合して、一緒に居る事が
当たり前になっている。
亮介と省吾は共に一浪しているから、私達の1歳上。
最初こそ敬語を使っていたけれど、今ではそんな事すら忘れている位
フランクに話している。

気が付けば21時過ぎ。
実家暮らしの陽菜と私は、門限があるからソロソロお開きにしよう!と
亮介が口にする。
そう、何時だって亮介は、門限がある陽菜を気にしてあげている。
門限を口にする度に、彼が好きな私は、胸の奥に重石が乗せられるような
気分になるのを、亮介も他の誰も気が付く事は無い。
私一人が知っている、私の恋心。

大学の近くに住んでいる亮介と、電車に乗るのに駅に向かう私達と店の前で
別れる。

駅前のコンビニで私は二人に
「コンビニでチョコ買って行くから、先に電車乗って」
「美月、待っているから、買ってきなよ」
「大丈夫。陽菜、門限に遅れる。」
「美月だって・・」
「うちはそこまで厳格じゃないから、大丈夫」
「お前、毎回、毎回チョコ買うんだから、いい加減呑む前に買っておけば?」
「あのね、省吾には解らないかもしれないど、女子はその時の気分で
欲しいチョコが違うの!」
「はい、はい。女心が解らなくてすまないね。」
「省吾、陽菜をお願いね。」
「お前も気をつけろよ」
「うん。大丈夫 私なんて襲うやつ居ないから」
「お前ね~」
「ほら、早くしないと門限に遅れる・・」
二人にヒラヒラと手を振って、コンビニに入る。
コンビニの中を一周し、私は今来た道を引き返す。
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