大きくなるにつれ、私が避けるまでもなく、柳田兄弟との交流はどんどん減っていった。

彼らはさすがに頭がよく、二人とも自然な流れで医者を目指したようだ。

大学生になると、二人とも相次いで家を出たので、顔を見ることすらなかったが、香子は、晃ちゃんが実家に帰る度にまとわりついていた。

晃ちゃん、大好き!と言っても、小さな頃からの口ぐせのようなものなので、相手にされない日々だったが、香子は純粋にひたむきに晃ちゃんを想い続けた。

そして長い年月のなかで、晃ちゃんも自然と香子に気持ちが傾いていったようだ。

私たちが大学生になった年に、二人は本格的におつきあいを始めた。

晃ちゃんは、医科大学の最終学年。大学生同士だと、ちゃんと恋人同士に見える。

恐るべし。執念の女、香子。

私はと言うと、浮いた話など全くなく、どんどん読書にはまる毎日。

児童書が大好きだったので、大学生になっても、外国のファンタジーなんかを読み漁っていた。

本好きが高じて、大学在学中に、図書館司書を目指すことを決意する。
できれば、学校の図書室の先生になりたかったので、小学校の教員と司書の二つの免許をとることにした。

ただ、学校の図書室の先生の求人は少なく、狭き門だ。
空きを待って就職浪人をするわけにもいかないので、求人待ちをしつつ、別の場所で図書館司書をすることにした。

その仕事を探すのも苦戦を強いられたが、今は彩西医科大学の図書館に勤めている。

この件では、隣の院長先生にお世話になった。まぁ、つまり、コネだ。

なかなか就職先が決まらない私にヤキモキした母が、恵理子さんに相談をした。
それが院長先生に伝わり、出身大学の図書館に司書の空きが出たのを見つけてくれて、私に話が回ってきたというわけだ。

本当は、児童書を毎日読みあさり、「莉子先生のオススメ図書」などというPOPを作る日々を夢みていたが、しょうがない。

ありがたく仕事に着かせてもらうことにした。

香子は高校生の頃に、大学生の晃ちゃんを振り向かせるため美容に目覚め、その道を極めることにしたらしい。

デパートに店舗を展開する大手の化粧品会社に奇跡的に就職が決まり、美容部員をすることになった。

その後、香子の恋人の晃ちゃんとは、自然と交流が再開したが、昔のようなわだかまりはもうない。

凌ちゃんが今も意地悪かどうかはわからないけど、交流は特に望まない。

だって、恐いイメージしかないのだから。

香子たちが結婚でもすることになれば、親戚づきあいをしなきゃいけなくなるだろうが、その時はその時だ。

そんな風にのんきに考えていたのだが、人生はそううまくはいかなかった…。