俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
運命のお見合い
*◇*◇*
お見合いの日がきた。
朝から我が家は浮き足だっている。
私以上に、母と香子の温度が高い。
父の温度は、私より低めだけれど。
「香子がお嫁に行くだけでも辛いのに、莉子までお嫁に行ったら、お父さんは生きていけないよ。」
と泣きそうになっている。
父よ、ウサギじゃあるまいし、しっかりと生きてくれ。
香子は熱心にメイクをしてくれ、「お義父様が選んでくれた人は、きっと莉子を幸せにしてくれるはず。莉子がお相手を気に入りますように。」
と優しく抱きしめてくれた。
母は、忘れ物はないか、電車の時間は大丈夫か、などといらぬ心配ばかりし、私が家を出る時には、既に疲れきっていた。
実はお相手の写真や釣書などはいただいていない。
お相手は私のことを知っているので問題はない。
私は、よほど嫌な方でない限り、今回のお見合いで決めようと思っていた。
だから、事前の情報は必要ないと思ったのだ。
だが、院長先生には、
「まだまだ莉子ちゃんをぜひ、と言ってくれる人はたくさんいるからね。今回で決めようと思わなくていいんだよ。気に入らなければ断って。」と言われている。
昨夜ももう一度連絡をくださり、
「くれぐれも嫌なら断って。」と念押しされた。
そこまで言われると、心配になってくる。
院長先生は厳選して相手を選んでくれたはずなのに、なんだか断ってほしそうだ。
何気に不安はあるが、とりあえず会ってみないことにはわからない。