私を救ってくれたのは
目を閉じる度に思い出すのは、彼の笑顔。そして、そっと目を開けてみる。

学校の屋上から見える見慣れた景色に、私はため息をついた。

「……どうして……」

彼のことを思い出して、私の目からは涙が零れた。

私と彼が出会ったのは、中学生の頃だった――。



「……っ!」

朝、目を覚ますとすぐに携帯の電源を入れる。携帯に表示された時間に、私の眠気は一瞬にして飛んでいった。

「遅刻だ!!」

布団から急いで出ると、猛スピードで身支度を整えると家を飛び出す。そして、新幹線と同じくらいになるんじゃないかってくらいのスピードで自転車を走らせた。

……いや、新幹線は言い過ぎか。

「と言うか、お母さんも起こして欲しいな……」

目覚ましをかけてたのに、起きなかった私が悪いんだけど。

そんなこんなで学校に着いた。上靴に履き替えて、いざ職員室へ!

そう思って走っていたら誰かとぶつかりそうになって、私は急ブレーキをかける。ぶつかるところだった……危ない危ない。

「……今来たってことは、遅刻したの?」

私は、私よりも背の高い男子生徒を見上げた。

「はい……って、中村くん?」

私を見下ろしてたのは、同じクラスで私が好きな男の子の中村くんだった。
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