HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
隣人は兄
お兄ちゃんは父に代わり、『一ノ瀬コーポレーション』の社長に就任した。

「瑠生さんが社長か…」

今日は日勤で帰宅した隼也さんと久しぶりに夕食を共にした。

今夜のメニューはカレーライス。

「そうだ・・・空き室だった隣の部屋に誰かが越して来たみたい」

「へぇー…俺達みたいに新婚さんだったら、嬉しいな…」

ピンポーン。
インターホンの音が響き渡る。

「誰だ?」

「私が見て来る」

私は腰を上げて、モニターで相手を確認した。

「お兄ちゃん?」

「はぁ?こんな夜中になんだ?」

私達は首を傾げて、二人で玄関のドアを開ける。

「夜分遅くに申し訳ありません。隼也さんに瑞希」

「何?お兄ちゃん」

「これ…ご挨拶のお品です」

お兄ちゃんは私達に可愛い包みの箱を渡した。

「ご挨拶?」

「今度隣に引っ越して来たもので」

「はぁ?隣?」

「隣の部屋に越して来たのって…お兄ちゃんなの?」

「はい…瑞希、お兄ちゃんは貴方を見守ると言ったはずですよ…だから、隣に越して来ました。喧嘩して、居た堪れなくなった時はいつでも、お兄ちゃんの部屋にいらしゃい。瑞希、これがお兄ちゃんの部屋の予備のカードキーです」


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