HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
私は帰宅。
邸宅は昔ながらの屋敷を父の自社の建材で大改造して、洋風にリフォーム。
今昔の調和のとれたモダンな建物で、私はスキだった。

「お帰りなさい、瑞希」

「只今、お母さん」

母が私を玄関先で出迎えてくれた。
父の一ノ瀬瑞生(イチノセミズオ)は大手建材メーカー『一ノ瀬コーポレーション』代表取締役。
私は一応社長令嬢。
だけど、令嬢としての自覚はなかった。

母の寧々(ネネ)は新入社員で父の秘書を務めて、そのまま二人は恋に落ちてゴールイン。
今は専業主婦で趣味のハワイアンキルトに夢中。
兄の瑠生(ルオ)は現在中国・北京の支社長として海外で仕事をしていた。

「ねぇ…瑞希…瑞生さんから訊いたんだけど…昨日…隼也さんの部屋に泊まったって本当なの?」

「え、あ…」

母の耳にも入っていた。

「詳しい話は後でいい?」

「いいけど…」

「じゃ私…部屋着に着替えて来るね…」

私は慌てて二階の自室へと階段を駆け上がった。

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