私は小児病棟のナーススーテションに戻った。
「おはようございます…」
私は何食わぬ顔で、中に入って行く。
「高木先生も結婚か…」

「まぁ―・・・一ノ瀬さんの父親はこの辺りの大地主だし、一流企業の社長だから…」

「病院の土地も元は一ノ瀬家の土地らしいじゃない…」

此処にも、私と隼也さんの結婚の噂が流れ込んでいた。

「貴方達…」
乾看護師長が皆の噂話に水を差す。
ようやく、皆が私の姿に気づき、口を噤んだ。

「・・・一ノ瀬さん、ちょっと」
乾看護師長が渋い顔で私を呼んだ。

「あ、はい…」

二人で、入院患者用の投薬箱を覗き込んだ。

「昨日も注意したわよね・・・同じミスは繰り返えさないで…一ノ瀬さん」

「投薬ミスでもし、患者さんが亡くなられたり、重篤な状態に陥ったりしたら、どうするの?」

「申し訳ありません…」
「昨日もそうだけど…貴方のミスに気づいてくれたのは村上さんだから…後でお礼を言いなさい…わかった?」

「あ、はい…」