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翌日の夜。
「患者さんからお礼に頂いた「仙台黒毛和牛霜降りカルビ」ですよ。高木先生」

槇村先生が仙台黒毛和牛霜降りカルビを手土産に泊まりに来た。
彼は提携病院『東亜医科大付属病院』の若手産科医。実家は横浜にあるお城のような白亜の建物で、入院生活はセレブ気分が味わえる産婦人科病院で有名な「槇村レディースクリニック」。
クリニックは四歳年上の兄が継いでいた。
「凄い霜降りですね」
「でしょ??」

「分娩はなかったのか?」

「なかったね…出産も月の満ち欠けに左右されるから」

「そうなんですか?」
「うん」

「お前の寝る場所には瑞希の荷物で占領されてるぞ」
「いいですよ…別に…俺は何処でも寝れますから…高木先生、気を遣わないで下さい」

「別に気は遣ってないぞ。俺は遠回しに泊り来るなと言いたかったんだ」

「瑞希、野菜全部切ったわよ」
「ありがとう御座います。智咲先輩」

キッチンでは智咲先輩が焼肉の食材の準備をしていた。

「さぁ~焼きましょう!!高木先生」

四人で、ダイニングテーブル囲んで、焼き肉パーティ。

「槇村…言われた通りちゃんと印鑑持って来たか??」
「はい…」

「じゃ後で、証人欄サインと捺印してくれ」

「俺でいいんですか?」

「別に誰でもいいんだよ…もう一人は仙波に頼んだし」

「へぇー…そうなんだ」