LIONの許婚

田中はデキる秘書



田中(-⊡_⊡)は、悠里の住む
青空駐車場にいた。

悠里は、未だ出勤前らしく銭湯
に行くらしかった。

「悠里さん、お忙しい所
すみません、少しお時間を
いただけませんか?」


「あ、桜祐の秘書さん?
確か・・・」

「はい、田中と申します。」


「はい、桜祐の秘書さんが
わざわざ?

ご用件は、なんでしょう。」


悠里は、桜祐に何かあったのだと
直感的に分かった。
余りいい話では無いようなコトが
田中の顔を見たら分かってきた。


「社長ですが最近大失敗を
おこしまして、」

「ええ━”””あの桜祐がですか?
何をしたんですか?」

「はい、最近自暴自棄になられ
がちで私共も手を焼いています。
もう加納なんか継がない・・とか
酒浸りで今日も飲みに出られる
ようで・・・( ¯ ¨̯ ¯̥̥ )」


「え━━━と‼ 本当に?」

「はい。👅」
田中は心の中でペロッと舌を
だした。


「今日も多分行きつけの
ブラッククローバーと言うBARに
行かれるとおもいます。」


「なんかヤバそうな名前ですね。」
BARと言えば事件ドラマで
良く出て来るのを思い出し悠里は
心配する。

「いえいえ良心的なお店ですよ
ちょっと高級ではありますけど。
社長の行きつけですし大丈夫です。」

田中は悠里の不安を拭うため
桜祐の行きつけだと安心させた。


「わ、わかりました。」
悠里は、その夜仮病を使い
キャバを休んだ。
一応辞めるつもりで退職願は、
出してある。


昼間のレストランの仕事を
終え向かった先は
ブラッククローバー



「社長、今日はパーっと飲みましょう
最近お疲れでしょう
元気も無さそうですし」


「いや酒はあんまり
飲まない事にしている。」


『ん━━━それじゃ、
こまるんです、計画通りに
行かないんですよ。』


「悠里さんの事でお話も
ありますし、軽く飲みながら
これからの事を決めませんか‼」

「・・・そうか‼
分かった。」

(-⊡_⊡).。oOシメシメ


その夜ブラッククローバーで
田中と飲んでいた。
気心の知れたマスターと
田中だ、気が緩んでしまったのかも
知れない。


田中に悠里に言われた事を
愚痴っていると酒が進み
クビッ グビッ グビッ

社長は、癖の濃いウイスキーの
琥珀色に誘われてかなりな量
を召し上がる。

『早く悠里さん、来ないかなぁ』
田中は入口を眺めソワソワ



高級な店と聞いて悠里は、
ふわふわワンピースに少し
化粧をしてあんまり履きたくない
赤いヒールを履いてやって来た。

目敏く悠里が入店してきたのを
見つけた田中は、悠里に向かい
手をあげた。

「社長、社長」
桜祐は、もうレロレロ語

「悠里さんですよ」
と声をかけたがもうワケワカメ

フラフラしながら悠里をチラチラ

「お━━━━━悠里じゃないかぁ
また、おれれをフリにき━たかぁ」

悠里のふんわりした髪からは
甘いかおりがする。

「ゆ━━━うり、おれれ
俺はぁ~ウップウップ」

桜祐は、悠里に持たれて×ω×`
ぐったりしてしまった。

「ほんとに、田中さんすみません。
こんな飲むなんて」

「(-⊡_⊡)悠里さんマンション迄
社長を運びましょう。」

髭を生やしたマスターと
悠里と田中で
桜祐をタクシーに乗せるのに
四苦八苦、タクシーの運転手さんも

「あ〜この間のお客さん
またやらかしたんですかー
勘弁してくださいよー」
と言いながらも桜祐のマンション迄
運ぶのを手伝ってくれた。

田中は丁寧に御礼を言って
手数料を渡し帰ってもらった。


悠里がビックリしたのは
ライオンの絵に
兎や鶏が付け足してあった。

悠里を見下ろすライオンの
大いなる姿は、あいも変わらず
睨みを効かせているが
前のようにゾッとする姿には
見えなかった。


「寝室も、ベッドは、
入れ替えまして
隣の書斎だった所にありますよ。」

桜祐を2人で運びながら
田中は方向を指さした。

「なんで?」
悠里は、不思議な顔をして
田中を見た。


「(笑)悠里さんが嫌がるから
らしいです。
今物件探していまして
ほぼ決まりです。
社長は、引越しますよ。
家具も全部悠里さんの
好みにするそうですよ。」


「え、わたしの?」


殆ど入った事の無い書斎
このセミダブルで寝てるんだ‼

悠里は、書庫の様な棚を見てみると
ファイルが沢山並んでいた。

桜祐は案外勉強家だったのだと
理解するには充分な物だった。

桜祐をゴロンと寝かせると
首をコキコキ、腰をトントン
させながら田中は

「では、わたくしはコレで
後はお任せ致します」

田中はニッコリと微笑み
スマートに出て行った。


「悠里、悠里」
寝言のように囁く桜祐の髪を
綺麗な手で撫でながら
悠里は、考えていた。

・・・桜祐
桜祐の頬に涙がつ━━━━っと
落ちた。
それを見た悠里は、
DQN━━━━━━━💕


イケメンの涙に撃ち落とされて
しまった

眠りに落ちた桜祐を抱きしめて

「もう何処にもいかない。
ゴメンなさい桜祐‼」


桜祐は、深い居心地良い
眠りについていた。

悠里は、桜祐に毛布を掛けて
静かに部屋を出た。

なるほど寝室には何も無い
フローリングの床がテカテカと
光っていた。



桜祐は目が覚めた。
セミダブルのベッドの上で??
「ん?なんで書斎に?セミダブル?
深く考えて見たがサッパリ‼」

頭を掻きながら???
寝室を開けてみると

スッカラカ━━━━━ン‼

狸に摘まれたような不思議な
気持ちでリビングに行き窓を開ける。

暖かい光が部屋いっぱいに
こぼれてきた。

「おはよう桜祐」

悠里
「ど、どうして?」

昨日の出来事など覚えれない
アルコールに汚染された脳みそ
を手繰りにたぐって

田中と飲みに行った所迄
思い出した。

ボーっとしていると

「桜祐、大丈夫だよ。
私が傍に居て桜祐支えるから、
ほら失敗は、成功の元って言うし
失敗なんか気にしないで・・・ね‼」



「し、失敗?お、おう❓」

「朝御飯できてるよ。
ピザパン焼いたんだ、たべれる?」


「お、おう」
エプロン姿の悠里は、可愛らしく
愛らしい。
スッピンでも可愛さ⬆UP

コーンスープを注ぐ後ろ姿に発情期
特有なハッハッハッな短い呼吸。

珈琲で落ち着きを取り戻す。

「俺が失敗したなんて、デタラメいや、
失敗した話は誰から聞いた?」


「ごめん、田中さん。」


「そうか」
かぶりついたピザパンを
皿に置きながら

「他の事も聞いた?」
桜祐は悠里の顔を見ながら
真剣な顔で聞いた。


「うん。
マンション引っ越すって
あと私が嫌がるからベッド撤去
した事も聞いた。」


ええーっ!!

「え?違うの?」


「も、勿論だよ。
田中の奴おしゃべべりだな!」

「桜祐が心配で昨日駐車場に
わざわざ来てくれたんだー」

.。oOああ、昨日暫く帰って
来なかったのはこの為か!

「成る可く早く引っ越すよ。
でも悠里が一緒に居てくれるのか?」

「うん。
又追い出されない限り
傍にいるよ。」


「悠里ありがとう。」
.。oO(-⊡_⊡)田中よ感謝するゼ‼


「物件は、悠里と探すよ
悠里が気に入った場所がいい。
仕事辞めて、ウチの会社に
入社しろ。
な‼」


「う~んそれはヤかな(笑)」





「瑞希」
不意に名前を呼ばれ真壁は、
振り向いた。

「一晃(かずき)」
真面目秘書の(-⊡_⊡)田中は
相変らずのピシッと着こなした
スーツを着て加納本社にいた。


「会長の出方を聞きに来た
今度は何を企んでいる?」


真壁は、シラーツとした顔をして

「さあ、何の話?」

「お前も悠里さんを嫌ってるのか?
やっと上手く行きだしたんだ
邪魔するな”」



「え、‎上手く行きだしたの?」


「そうだ、一緒に暮らしている
彼女の何が不満だ?
会長は、何故反対している?」


「悠里さんのご両親が三上分家
じゃない事は御理解頂いたわ。

でもその両親に育てられた事実は、
事実、ろくな娘じゃないって
思われてるわ。

もし桜祐さんが悠里さんと結婚
するなら、加納財閥の跡取りは、
桜哉さんに移るわよ。
一晃それでいいの?
日本一の男の秘書になるのが
貴方の夢だったじゃない。」


「そうか」

「そうよ、会長が引退すれば
桜祐さんの父親が暫く
会長になるそうよ。

そして私が桜哉さんの第一秘書に
抜擢される手筈なのよ!

でも会長は、桜祐さんに次いで
欲しいんだと思うわよ。
私もそう願ってる。」



「あなたも考え直したら
秘書なんだから守る相手を
間違ったらダメよ

桜祐様のミスはそのまま
貴方のミスよ‼

それが私達の仕事でもあるの
分かってるでしょ。

何億何十億単位でお金が動く
のよ。
甘い世界じゃないわ(笑)
この事は直に会長から桜祐さんに
話されると思うの、

桜哉さんの会社に資金が流れ
たら桜哉さんの会社は今より
大きくなるでしょうね。

事実桜祐さんの会社は資金を
ストップされるわよ!
誰が考えてもわかるでしょ

田中一晃貴方もこっちに付いた
方が得よ。」



「瑞希、お前変わったな‼」
田中は会議室の椅子を引きドスン
と座った。

真壁瑞希は、田中の顔を
ジッと見て

「変わらないわ!
私のボスは加納一大よ‼
私は彼に従うまでだわ」


「俺の愛した真壁瑞希は
そんな女じゃない!
間違った事をしているなら
指摘する。
そんな女だ‼」


「お互い仕事が忙しく
なかなか上手く行かなかったが
君を思う気持ちは変わらない。

どうだ秘書を辞めて
俺の所へこないか?

そろそろいい時期じゃないか?」



「・・・・」


「失礼します。」

真壁瑞希はカッカッと靴音を
響かせながら、田中の問いかけに
返事をしないまま長い廊下を歩いて
行った。


田中はそんな瑞希を見送りながら
カン珈琲をグツと煽ると
又エレベーターを降り
車を運転して本社を後にした。


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