LIONの許婚

「おはようございます。」
桜祐は、会社に出勤すると
社長室には真壁と会長加納一大
が手をすくねて待っていた。

入って来た桜祐に真壁が
静かに頭を下げた。

桜祐の後ろから入って来た田中も
キッチリとした姿勢で頭を下げた。


真壁と田中は、それぞれの
位置に連れ立って立ち黙っていた。


「桜祐、お前の見合いは、
明日じゃ、今度は必ず決めろ!
何時まで独身なんだ
早く儂を安心させてくれ。」


「爺様、私は悠里を嫁と決めて
います。
どうぞ御理解下さい。」


「桜祐、考えて物を言え‼
悠里は、ダメだ‼

あの親に育てられた娘だ
調べたら飲み屋で働いてる
そうだな
母親と同じじゃないか‼」


「悠里は、親の借金返済の為
仕方なかったんです
飲み屋と言われますがみんな
プライドを持って働いています
何処がわるいんです?」


「悪い悪くないの話じゃ無い‼」

「頭硬いんですよ‼
兎に角、加納桜祐のヨメは
悠里です
見合いの意味もありません。
謹んでお断りだ‼」



「桜祐、ウッ」


「か、会長、会長、会長」
《《爺さん、爺さん》》

興奮して加納一大は、ぶっ倒れた
軽い心筋梗塞だった。
幸い軽かった事もあり麻痺も
残らず大丈夫だった。


「お祖母様すみません
僕の不注意で‼」

「いいのよ桜祐、気にしないで
最近塩分の取りすぎなのよ
大丈夫大丈夫って言いながら
塩辛い物をよく食べてたの‼」


「そうそう悠里は、
元気してるの?
たまには顔を見せるように
言ってね。」


「あ、はい。」


”桜祐、私の言う事を聞いてくれ”
爺さんは、苦しみながら
そう言った。


長年俺を育ててくれて元気な
爺さんしか知らなかった。
口煩くて厳格な加納一大



「ただいま。」


「お帰り━━━━」
ドンと体当たりして来る悠里
こうした行動は、前とちっとも
変わっていない。


「ど━━━したの?
元気無い感じ‼
なんかあった?」

桜祐は、にこやかに笑いながら
「ちょっと、トラブル‼」


桜祐は、悠里に着替えをだして
貰いながら浴室へと消えた。

悠里は、スーツの手入れを
しながらクローゼットになおそう
とした時ポカポカと
テーブルの上のスマホが点滅した。

オープン画面には

「明日11:00に南冬HOTEL
10:00にお迎えにあがります。」

悠里は?HOTEL?なんで
南冬HOTELと言えば
外国の政府の要人や偉人が集まる
由緒あるHOTELだ。


ん?HOTELだよね



あのラインは田中さんじゃない
多分真壁さんだ・・・
と言う事は・・・


「性懲りも無くお見合い?」
・・・またか!
又私捨てられるかも・・・
悠里のすぐ諦める癖は健在。



「ご飯だよー!」

「おう。」
書斎から出てきた桜祐は、

「おっ‼ 今日はなんだ〜」
ニコニコしながら食卓に付く。

「じゃじゃじゃーん。
ロールキャベツ‼

ヒジキ、サラダー‼
あとはぁー何故か冷凍海老フライ‼
198で安かったカラー」

わざとおどけて桜祐の気持ちを
軽くしてあげる。

桜祐が落ち込むなんてよっぽどの
事だ、何をいわれたのだろう。


「ね、美味しい😋?」

「うん、悠里が作ってくれたら
なんでも美味しいよ。」


「じゃあ、明日お弁当作ろうか
田中さんのも一緒に‼」


「あ、明日はいい。」


「ん?なんで」


「仕事で会食だから大丈夫」

「あ‼HOTELかなんかの
レストラン?」


「え、なんで知ってるの?」

「え?そうなんだー
知らなかったよーイイなぁ⤴
美味しいのいっぱい出るでしょ
コースで?」


:(´◉ᾥ◉`):💦
「ん?...ど、どうかな?
エビピラフかカレーぐらい
じゃないかな?
し、仕事なんだからさ。」


「ふーん。
そうなんだぁ」


悠里は、海老フライをフォークで
2回グサグサッ ガッンパクッ

\=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)/・・・


「ん?どうしたの?桜祐?」


ア、ハハハハ…
「な、なんでもないよ。
な、なんか怒ってる?かな~
とか思うんだけど。」


「アハハハギラッ
おこる?なんで?」

その夜は何事もなくラブラブに
過ぎていった。


朝食を済ませ、今日は、いっもより
身支度に時間をかけてる気がする。

悠里は、じーっと観察する。
水色のワイシャツにカウスボタンも
女の子ウケするピンク

スーツも更に上等の奴
靴下もブランド物、悠里の買って来た
3足束の398の奴じゃ無い‼

にゃんで?靴下ぐらい私の買った奴
履いてけよ!
悠里の心の声は聞こえない。


桜祐は、じゃあ行ってくる‼

「うん。お見合い、頑張ってね
桜祐がマンション出て行ったら
私別れるからね‼」


「ギクッ!」

バイバーイ👋
「お元気でね~🤗」

「桜祐は、立ち往生‼」

「どしたー早く出てけ!」

「悠里」

「愛人にでもしょうってꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)アハハ
💥💢💥お断りだーヨ‼」

顔はにこやかに笑い目は怒りに
震えていた。
『馬鹿にするナ‼』

悠里は、そう言いたいのかバシバシ
と桜祐を叩き出す。


「な、な、違う違う」

「お前の違うは、聞き飽きた!」
悠里は、怒りを爆発させた。


「一歩でも出たら終わりだからね!」

「悠里頼むよ!
爺さんの頼みなんだ、昨日
倒れたんだ医者から極度のストレス
らしい。」


「そう。
だから何?」


桜祐は、悠里の目を見て頼んで
きたが、悠里の答えはNO

桜祐は、片っぽづつ靴に足を
つつ込んだ!


「待って、これにサインして」

①もう二度と三上悠里の人生に
踏み込まない。

②悠里を二度とさがさない。

③加納桜祐は、三上悠里との関係を
一切持たない。
悠里はドアの前に立ち、とうせんぼ
書かないと退かない‼

外には真壁瑞希と桜祐の両親が
到着していた。
ピカピカに光る黒塗りの車は
加納桜祐が来るのを待っていた。


「・・・悠里‼」

桜祐は、ポケットからペンを出した。


「真壁、見てきてくれない!」
薄ピンクの上品な着物を着て髪を綺麗に
結い上げた桜祐の母親梨代は、
運転席の真加部に様子を見てくる
様に頼んだ。

「はい奥様。」


「まあ慌てるな、待ってやれ」
桜祐の父親桜庵は、ドッシリと
座り真加部をみた。


「ん、もうアナタは落ち着き過ぎ
ですよ。
いいから真壁お願い。」


「はい奥様。」
真壁瑞希は、ビシッとした態度で
桜祐を迎えに行く。

礼儀正しく歩く姿は
美しくもある。


瑞希が桜祐の部屋で見たモノは
叩き出されそうになっている
桜祐だった。

「ヤメロ、ヤメロ━━━━😰💦」

「何言ってんのこの
唐変木‼ 早く出て行け‼」


「出て行ったら、悠里は、又
居なくなるんだろうが💥💢💥」


「アンタこの紙にサインしたよね
後は拇印押せば済む話
ほれほれほれ━━押せ‼」


「ただのコピー用紙に
そんなん押しても何もならないぞ!」

ツカツカツカと真加部瑞希が
近寄り悠里から朱肉を受け取り桜祐の親指を掴み朱肉を付け
ポンと押した。

「行きましょう
皆様お待ちでございます。」

「ま、真壁Σ( ̄□ ̄)!」
桜祐がびっくりしているうちに
カチャ悠里は、部屋に鍵をかけた。
桜祐の締め出しに成功した。


「真壁、
あれは法的に扱われるのか?」


「はい、多分桜祐様のサイン
そして拇印、多分正当化されます。」


「しかし拇印は、お前が押した
んじゃないか‼」


「さあ、どうでしたか?」
証明する物はございません。
悠里様が桜祐様が押したと言い張ら
れるなら、わたくしは
従います。
違うとおっしゃればそうでございます。

新会長も奥様もお待ちです。
今日は加納家に取って大事な
1日でございます。
行きましょう桜祐様。」






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