2人は夏の終わりを告げるように
あちらこちらに落ちた蝉の死骸
を気にしながら公園の自販機の
そばにある長椅子にこしかけた。

「田中もせめて喫茶店で
下ろしてくれたら良かったのにな。」


「うん。」

隠しマイクを桜祐の財布に取り付け
て話の様子を聞いていた一晃は
『えっ・・』ズルッ


「でもアイツには感謝しても
しきれない!
最高の右腕だよ。」


「うん。」

「あの日、小澤がやって来て
・・・」

「なに?」
突然言葉を呑み込んだ様に
黙る桜祐を悠里は見つめる。


「小澤さんが来たの!」
悠里は桜祐と、目を合わせながら
聞いた。


「ああ、あの日お前を
手に入れると宣言しに来た‼」


「ああ⤵︎ ︎小澤社長には
お世話になっていたから
まるで本当の兄さんみたいな
気がしていた。

桜祐のとこを飛び出して
何処に行ったらいいか
分からなかったし。」


「ああ
俺が見合いした日か? ︎」

「うん。
桜祐、結婚やめたの?なんで?
お爺様推しの人だったんでしょう。」

「見合いも顔出すだけの
5分で終了、急いでマンションに
帰ったら悠里は
出て行った後だったよ。」


「クスッ棄てられるのを待つ程
お人好しじゃ無かったのよ。」


「・・・ゴメン。」


🍃



「悠里、もう分かってるかも
知れないけどオレ
悠里がそばに居ないと馬鹿に
なる、頭がおかしくなるんだ。」


「うん。
そうだね。」


「えっ・・‼
クスッハッキリ言うなぁ」
桜祐は椅子に持たれながら
長い足を組み悠里を見つめて
真面目な顔をしてつぶやいた。


「悠里が小澤に抱かれるのを
想像すると、胸が焼け付きそうに
苦しくなるんだ‼」


「アハハハハ小澤社長と?
まっさかぁ~ナイナイ
小澤社長はプロ専だよ。
無理無理無━━━━━理‼
アッチから断られます~よーダ
120%ナイナイ‼」


「一度も無かったのか?
一緒に暮らしてて?」


「うん。
住ませて貰う代わり家政婦
してたの
私が出来るのそれしか無いし!」


パアアアッ
「本当?1回も」


「うん。
残━━━━念でした。
相手にして貰えなかったのかな?
≧(´∀`)≦ アハハハ経験不足だから‼」
悠里は大笑い‼


桜祐はまた真面目な顔をして
「悠里、小澤が好きか?」


「うん。」

((´(´・(´・_(´・_・(´・_・`(´・_・`)えッ...

「す、好きなのか?」

「うん、いい人だよね。」


「いやいや、恋愛対象として
アリか?」

「さあ~どうだかなぁ!」

「・・・」

「どうだかなって何だよ‼」

「コラ悠里・・・」


「ああ~お腹空いた
桜祐帰って、すき焼き食べたい‼」


「ああそうだった💨俺入院中
今日退院するか?」


「あ~あ
桜祐の病気が仮病だったら
良かったのにね。ウフッ
なんか凄く回復してる感じ
病気に見えないよ。」


「え‼ア、ハハハハ…
な訳あるか‼」


「じゃあ病院のコンビニで
弁当買うか‼
いっぱい食うぞw」


「うん。
Let's Go!!!!ε=ε」

「まて━━━━━悠里」

夏の賑わいを忘れた公園で
悠里と、桜祐の楽しげな声が
ひびいていた。

そんな様子を耳にしながら田中は
ホッとしていた。

「一晃」
突然、彼女が顔を出す。

「瑞希、どうしてここが分かった?」

「加納様を病院迄送った帰り
なの、奥様から話を聞いたわ。」


「えっ、喋っちゃった?」


「うん。
悠里様が、お見舞いに来たって
聞いた。」


『ああ、ヤベェそこか‼』
一瞬計画を雪乃様が喋ったかと
勘違いした田中はホッとしていた。

「一晃、なんかしたの?」

「えっ・・なんかしたってなに?」
(-⊡_⊡)田中はずり落ちたメガネを
外しフキフキ

「アンタが動揺する時は
なんか企んでる時よ。」

「いやいやいや
瑞希考え過ぎだよ!」


「ま、いいワ
かえりましょう。」

久しぶりに夕飯ご馳走してよ。
そう言うと
真壁瑞希は車を運転しながら
先に帰って行った。



それから直ぐ、桜祐は退院した。
(ってゆうか、ただの一晃の友達の
泊まり扱い、なんせ仮病だから。)

桜祐と、悠里は新居探しをした。

加納家近くのタワマンを購入
何故加納家の近くかと言うと

加納一大が少しボケて来たせいだ
もう今年86なのだから
お年頃と言えばお年頃

そう思っているのは悠里だけで
もしかしたら悠里と、顔を合わせる
のが申し訳ないと、思ったのか
田中秘書が時たま、加納一大の
世話をしている
アイツの入れ知恵かと桜祐は
納得‼。

雪乃と、田中、2人は策士だ
一大のボケは加納家を回す為の
必要要素なのかもしれない。



それから2人はフォト婚を済ませ
悠里は曾祖父の言い付け通り
加納家に嫁入りをした。

お腹はぷくぷく膨らんで
もうすぐ臨月

加納一大は益々元気になった。


「いいの、美穂さん。」

「はい、ありがとうございます。
ねえ、あなた。」

「はい、もう嬉しくて嬉しくて」

加納一大は、せめてもの悠里への
罪滅ぼしに悠里の両親を探して
見つけて来た。

美穂は悠里に良く似ていて
可愛らしい顔つきをしていた。

親2人は悠里を捨てた訳じゃなかった。
当時17歳の美穂と、駆け出しの医者
悠介は信頼し合い結婚を約束していた。

悠里の父悠介が海外赴任が決まった
時美穂のお腹はは8ヶ月だった。

あとから追いかける約束をして
美穂は出産に挑んだ
しかし
分家の兄嫁智和が不妊で中々
子供を授からなかった。
三上分家の会社は不当たりを出し
会社は倒産近く追い込まれていた。

そこへ借金の肩代わりに
訪れたのが加納家の当時の当主
加納大吉だった。

「妻が子供を産んだばかりで」
と、泣き付いた所を
本当ならと見舞いに来た大吉は
悠里を抱き上げ

「まあ、可愛らしいのう。
家の曾孫の桜祐の嫁に貰いたい
ちゃんと躾て置くのだぞ

ああニッコリして可愛いのう。」

それから身内になるのだからと
大金を三上分家に差し出した。


三上分家にとってこの時から
悠里は金を得る金の卵になっていた。


それ以来邪魔な美穂をあの手
この手でたたき出し
迎えに来た悠里の父親と、
美穂は泣く泣く連れ立って
三上分家を後にした。

産婦人科の前に棄てられて
いた事も大嘘で悠里は
無理やり三上分家、達成と、智和の
娘として籍をいれられていた。

智和は自分の子供では無い
悠里を愛せず、痛めつける事で
鬱憤を晴らしていた。

智和の夫であり悠里の継父である
伯父達成も
悠里と、関わりを持たなくなれば
自然と愛情もわかなかったらしい。


美穂と、悠介は何度も三上分家を
訪れたが合わせて貰えなかった
と言う。

「せっかく幸せに暮らして
いるのに、邪魔しないでくれ
悠里を大事に思うなら帰れ」

と、追い返されていた。

2人は日本を離れ悠介の勤務地
ベトナムへと向かった。


雪乃から悠里の育った環境を聞いて
悠里の両親は泣き崩れていた。

「今更あえません。
加納様悠里をよろしく
お願いします。」


「うむ、いつか必ず
会えるようにしよう
君たちも悠里も被害者なんだからな
悠里は今、出産まじかじゃ
悩み事は禁物じゃから
生まれたら話をしようぞ!」

夫婦は頭を何回も下げて
出て行った。

来年の秋には2人の結婚式を
盛大に執り行う予定だ
その時はバージンロードを歩く
悠里と、悠介はどんなに喜ぶのだろう。

雪乃も一大もその日が
楽しみで仕方がない。


「あなたボケた感じはどう?」

「う~む、めんどくさいかのう。
田中秘書もよう考えるのう。」
一日何回か同じことを言わされ
る一大は苦になってしかたない。
田中の言いつけは瑞希にもバレては
行けないと言う。

「仕方ありませんわ
田中秘書は中々ですし
でも瑞希と、恋仲なのは
知らなかったでしょう。」


「は?ホントか‼」


「さあ、どうでしょう。」

まだまだ忙しい一大はボケる暇など
あるのでしょうか‼

加納家をぎゅうじるライオンの
正体は、一大でも無く桜祐でも無く
田中一晃なのかも知れない。

そしてその許婚はやはり
加納一大も頭が上がらない
真壁瑞希なのだろう。



おしまい。








読んで下さってありがとう
ございます。
感謝致します(*ᴗˬᴗ)⁾ルミン。

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