雲居の神子たち
白い少女
気がつくと、私は薄汚れた小屋の中にいた。
足と手を縛られ逃げ出すこともできない。
えっと、何があったんだっけ?
記憶をたどろうとして、横にもう1人縛られた人がいることに気付いた。

尊?
何で彼がいるの?
マジマジと見てしまう。
彫りの深い顔立ち。日焼けした肌。長い睫毛。
フフフ。
寝てるのかな?
もう会えないと思っていたのに・・・なんだかにやけてしまう。

「馬鹿、笑うな」
不機嫌そうな声。

えっっ。
私は心臓が止まるかと思うほど驚いた。

「この状況で笑うな」
周りには聞こえないような小声で尊が注意する。

「起きているの?」
私も声をひそめて、それでも尊に尋ねた。

「もう少し寝たふりしていろ。そうすればあいつらの話が聞けるかもしれない」
ああ、そういうこと。

話が聞ければ、この状況も見えてくるのかも。

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