「亜佑美、もう十時だから起きた方がいいんじゃない?」
聞きやすく心地の良い、私の大好きな声が耳元で響く。モゾモゾと布団から這い出て携帯を見ると時刻は十時。待ち合わせの十一時まであと一時間。
私は飛び起きた。
「な! やばい! 寝坊した!」
「何度も起こしたけどグッスリ寝てたからさ」
「ごめんなさい〜、急いで準備します〜」
布団から飛び出で洗面所に走る。鏡を見て愕然とする。ボッサボサの頭に寝起きの顔。
(こんな顔領さんに見られたとか最悪すぎるっ)
優しく顔を洗顔し、化粧水をたっぷり染み込ませている間に髪の毛をクシで整える。メイクをし、急いで寝室に戻り私服に着替えた。
今日は簡単にスキニージーンズに黒のVネックセーターとベージュのコートを羽織る。
リビングに戻ると領さんはソファーで携帯をいじりながらコーヒーを飲んでいた。
ジーンズに黒のパーカーでいつもよりラフな格好だがすっごくカッコいい。つい見惚れてしまう。
「領さん! お待たせしましたっ」
「ジャスト三十分だな、じゃあ行こっか」
「はいっ」