私と彼の出会いは合コンだった。
職場の同僚に誘われて合コンに行ったのはよかったのだが、合コンと言うものに参加したことがない上に人見知りなので物凄く緊張していた。そのせいかお酒を呑むペースが少し早かったのかもしれない。立つとグラっと視界が揺れる。
 これはまずい、と呑みの席で初めて思った。

「ちょっとお手洗いに行ってくるね」

 そう言って私は立ち上がりトイレに向かったが、やはり飲み過ぎたようで頭がフラフラする。歩くのもしんどかった。

「中村さん大丈夫? 送って行くから帰ろう」

 後ろから私の名前を呼ぶ声。酔っている私の耳にも真っ直ぐに届く低くて穏やかな声質。急に後ろから話しかけられてビックリしたが彼は合コンのメンバーの一人、早川領(はやかわりょう)さんだった。
 彼だけが私の異変に気づいてくれていたのか、追いかけてきてくれたみたいだ。

「いや、少し休めば大丈夫なんでお気遣いなく。
わざわざすいません」

 そう言って立ち去ろうとしたけれど、右腕をグイッと掴まれ、「離して下さいっ」と言っても無視され、そのまま外まで連れて行かれた。

「ちょっと、なんなんですか」

「そんなにフラフラしてるんだから家まで送るよ。顔色も悪いし……大丈夫、送り狼にはならないからさ」

 そう言ってクスリと笑いながらタクシーを止めてくれた。「荷物を取ってくるから先に乗ってて」と領さんはもう一度お店の中に小走りで戻っていく。
 確かに酔い過ぎて少し気分が悪い。皆んなには悪いが先に帰らせてもらう事にした。
 私の荷物を持った領さんが戻ってきて一緒にタクシーに乗る。合コンの場ではあまり話さなかったが意外と彼は気さくで話しやすかった。隣に座る領さんをまじまじと見ると短く清潔感のある髪の毛は綺麗なダークブラウンで染められていて、どちらかというと可愛い系と言うのだろうか、どこかのアイドルグループに所属していそうなクッキリとした目に筋と通った高い鼻。唇は下唇がちょっと厚めで柔らかそうだ。髭も生えていなく綺麗な肌に思わず触りたくなる。

「領さんって面白いですね、じゃあM方面にお願いします」

 タクシーに乗ったはいいが車の揺れで吐き気が襲ってきた。
もうやばい……
吐く……