あれ以来麻美は会社を辞めてしまった。
一身上の都合と言うことになっているが多分俺のせいだろうと思っている。
 麻美が急に辞めてしまったので後任の受付を急いで求人募集したりなど今までより仕事が倍忙しくなりなかなか亜佑美に連絡できないでいた。
 亜佑美にはしがないサラリーマンと言っていたが本当はデザイン事務所に勤めていて、新規オープンの店などのデザインを提案したり、マンションのデザインなども手掛けている。
俺の祖父の代から続いているデザイン事務所。
もちろん俺も継ぐ予定で今は副社長として働いている。
 俺の受け持っていたクライアントのお店がついにオープンに向けて動き出したので俺もデザイン案を出したり、お店が建つ予定地を見に行ったりと日々慌ただしく過ごしていた。
こんな事はよくある事で帰りは毎日のように深夜だったのでなかなか亜佑美に連絡する事ができなかった。
深夜に連絡するのも相手の迷惑になると考えるとなかなか連絡できず、
亜佑美からも連絡が来る事がなかったので
もう嫌われたのだろうか?など考えてしまっているうちに最後に会った日から一ヶ月が経ってしまった。
 でもやっと仕事も落ち着いて早く帰れるようになったので勇気を出して亜佑美に連絡しようと考えていた。
いざ携帯を出してかけようとすると着信履歴が残っていた。
確認するとその相手は亜佑美だった。
俺は年甲斐もなく運命という言葉を信じてしまった。
着信履歴があったのはお昼の十二時頃。
今はもう十九時だ。
かなり時間が経ってしまったが急いでかけ直す。