平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
一、悩み多き乙女
半月前。

大手銀行の窓口業務で働いている私は最後のお客さまを見送り、シャッターが閉まるのを待って「ふぅ~」とため息を漏らした。

ひとつに結んでいた髪を乱暴にほどき、ゴムを制服のポケットにしまう。髪色は生まれつき色素が薄いブラウン。

行員の規定では髪は黒、もしくはダークブラウンにしなくてはならないのだが、瞳もブラウンの生来からの天然なので会社側も黙認している。

これから今日一日の伝票集計作業が待っているが、入社三年目の私にとっては日常の業務でそれをこなすだけ。

今日は金曜日とあって、来客が多く伝票も多い。一時間ほどの残業で終わらせることができそうだ。

なので、ため息は仕事ではなく私生活の事。

今の私は今後の人生に関わってくる難題を抱えていた。
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