都合のいいふたり
彼との別れ @3ヶ月前
私達の関係が変わり始めたのは、同居を始めて3ヶ月が過ぎた頃で、私が不倫していた彼と別れた日の夜だった。

彼とは、仕事終わりに会う約束をしていた。
定時になると、急いで待ち合わせ場所に向かった。

常に別れを意識し、連絡をするのも気を遣う。
そんな関係でも、やっぱり会えると思うと気持ちも高鳴った。

彼はいつもの場所にいた。それは二人の会社からは離れた場所にあるホテルのロビーだ。

私がホテルの玄関をくぐると、彼の携帯へ連絡する。
彼はそれを合図に立ち上がり、部屋に向かう。
彼からは部屋のナンバーが携帯へ送られて来て、私はその部屋に向かう。

それなら、部屋で待っていればいいのにと思うけど、彼はそうはしない。彼なりの優しさらしい。
私には理解できないけど。

部屋に入ると、私達は儀式の様になった抱擁をして、ルームサービスで食事をする。

「あゆむは、最近、楽しそうだね。いいことでもあった?」

彼は、私のことを「あゆ」ではなく「あゆむ」と呼んでいた。それも彼の拘りらしい。

「うーん。別に変わってないけど。」

そう言いながら、涼介の顔が浮かんだ。
確かに、涼介のおかげで寂しいと思う時間は減っている気がする。
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