運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
運命の一夜
レストランは毎週月曜が定休日。

悟は久しぶりにある場所に向かっていた。

自分で車を走らせて向かうのは、両親の墓だ。

父が亡くなったあとを追うように、母も亡くなった。
息子の自分でも、両親が夫婦仲が良かったと思う。

悟は父が亡くなってからも実家から修行先のレストランへ通った。
時間をかけて通いながら、母を一人にしないようにした。

母が亡くなってから、母が実家をすでに片付けて売りに出す手はずを整えていたことを知った。


『私が死んだら、この家を売って、マンションでも借りなさい。いつかあなたが夢に追うことに余裕ができたら、誰かあなたを支えてくれる人と一緒になって、その人との家を建てて。苦労はあまりかけないように。それでも、苦労はかけてしまうものだから。その時はこの家を売ったお金で奥さんの落ち着く、家事のしやすい家を建てなさい。』
母は亡くなる前によくそう話していた。
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