愛しても、いいですか

失ったものの大きさ

私には、お付き合いしている人がいた。

加賀美 透(かがみ とおる)さん。
私の5つ上の先輩で、営業部部長にして不動のエース。
私は営業事務として主に加賀美さんのサポートについていた。 

銀縁のフレームがよく似合っていて、一見近寄り難い雰囲気だけど、いつもニコニコしていて誰に対しても分け隔てなく優しい人。

後ろに流した黒髪に端正な顔立ち、スラっと伸びた手足。男の人特有のゴツゴツした雰囲気はなく、その中性的な雰囲気に女性からの人気は高かった。

仕事上私は必然的に関わる時間が長く、一緒にいることも多かった。

ーーー「天野、悪いんだけどこの見積書、急ぎで作成してもらえない?」

「天野、天野のサポートのおかげで大きな契約が取れた。お礼に美味しいご飯ご馳走させて」ーーー

仕事上他の女性社員たちよりも少し近い位置にいただけ。

ただそれだけ。
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