漸が実家との決別を決めた、翌朝。

「……はぁっ」

朝食を食べながら漸が、陰気なため息をつく。

「どうしたんですか?」

起きて携帯を見てから、ずっとこの調子。
心配事は昨日でなくなったはずなのに。

「父から、有坂染色を潰してやるから覚悟しておけ、とメールが」

はぁっ、とまた、漸の口からため息が落ちる。

「自分の思い通りにならないからって、あの人は本当に度しがたい」

サクッ、と漸がトーストに噛みつき、いい音がした。

「えっと……」

「あの人がいくら嫌がらせしようと有坂染色が潰れない方法は考えてあるので大丈夫なのですが、それでも少なからずお父様とおじい様にご迷惑をかけてしまうのだと思うと……」

はぁっ、と再び漸がため息をつく。

「特に、おじい様からなにを言われるのか想像するだけで胃が痛いです」

真っ青になって漸はガタガタ震えだした。
昨日はあんなに怒鳴り散らしている父親へ毅然とした態度を取っていたのに、私の祖父はよっぽど怖いらしい。

「あの。
お父さんに思い知らせてやりたいと思うのですが、いいですか?」

「なんでそんなことを訊くのですか?」