褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

アイコンタクト

「ただいま～」

「おかえり～」



中学生最後の日だった卒業式の後。

友達と遊んで帰宅すると、玄関に知らない男物の靴が置いてあった。


誰か来てるの……？


少し緊張しつつ、自分の部屋がある2階へ向かう。



「あぁちょっと待って！」



すると、階段を1段登ったところで母に呼び止められた。



「ちょうど良かった。今、お兄ちゃんのお友達が遊びに来てるからこれ持ってって」

「えぇ……なんで私が……」

「今、晩ご飯の準備してて忙しいの。お願い！」

「はーい……」



お菓子とジュースとコップが乗ったおぼんを渡され、渋々返事をして2階へ。


兄の部屋のドアの前に立つと、扉の向こうから兄達の笑い声が聞こえてきた。


大丈夫……渡したらすぐ出ていけばいい。


深呼吸して胸のドキドキを落ち着かせ、ドアをノックする。



コンコンコン。



「はーい！」

「……お菓子持ってきたよ」



ハキハキした兄の返事が聞こえたのを確認した後、恐る恐るドアを開けた。