褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「西尾くんのことだけど…………彼と交流するの、極力控えてくれない?」

「え……?」



ハンカチで手を拭く手が止まる。



「あれ? 聞こえなかった? 西尾くんと交流するのを控えろって言ってるの」



目を点にしている私に再度冷たく言い放った草山先輩。

じとーっとした目つき。
お兄ちゃんが言ってたのってこのこと……⁉



「彼は学校のアイドルでみんなのものなの。だから、独り占めしないでくれる?」

「あっ……その……」



威圧感のある声と表情に言葉が詰まる。


独り占めなんてしてないのに……。

っていうか、なんでバレてるの?
周りにいないかちゃんと確認したはずだよね?



「彼と部活の話をすると、毎回といっていいほどあなたの名前が出てくるの。今朝も図書室で一緒に過ごしたんでしょ?」



もしかして西尾先輩が⁉
先輩! どうしてわざわざ報告したんですかぁ……!



「とにかく、モデルとデザインの話をする時以外は極力関わらないでくれる? あと、文化祭が終わったら西尾くんに2度と話しかけないで」

「えっ!」



ギロッと睨まれ、思わず後退りする。

言い返す暇もなく、彼女はトイレから去っていってしまった。


話しかけないでって……。
お兄ちゃんの友達なのに、そんなの無理だよ……。
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