褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
デート? or 気分転換?
東馬side



期末試験が終わって約1週間が経った7月。

全教科の答案用紙が返却された。


早いうちから計画を立てて勉強したのもあり、中間よりも少し点数が上がっていた。

担任の先生が言うには、今年も学年1位なんだそう。


追試も補習もないから、今年の夏休みも思いっきり楽しめる!


と言いたいところだけど……ひとつだけ気がかりなことがある。



「実玖ちゃん、このジャケットの生地は、厚め? 薄め?」

「あー……軽く羽織るイメージなので薄めです」



金曜日の放課後。
今週の月曜日から、図書室で実玖ちゃんとデザインの話し合いを再開した。


しかし、最近彼女の様子がおかしい。

顔色が悪いわけではないんだけど、どことなく声に元気がない。
表情も少し暗いような気がする。



「えーっと……このトップスは、真っ白というよりもアイボリーに近い色です」



紙に書き込みながら説明をする彼女の顔を横目でチラリ。

大好きな服の話をしているのに、瞳にきらめきがない。


それに……。



「アイボリーね、わかった。この胸元のハートは模様?」

「いえ、くり抜いてます」



抑揚のない声で淡々と話し続けている。

話し合いを始めてから30分が経つのに、1度も目を合わせてくれない。


もしかして、避けられてる……?
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