褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
心当たりはある。

先月、テスト前なのにも関わらず、朝早く登校してもらい、デザインの話し合いをした。

確かその時、時間がないのを気にして焦って説明していた。


あの時、『ゆっくりでいいよ』と言ったけど……。

デザインの説明を早く終わらせないと、テスト勉強をする時間がない! って焦っていたのかも。

まだ確定じゃないけど、関係している可能性もある。



「えっと、次が……」

「実玖ちゃん」

「はい?」



不安を覚え、次のデザインの説明に移る前に名前を呼んだ。

ホッ……やっと目を合わせてくれた。



「ちょっと休憩しようか」

「えっ……まだ30分しか経ってないですよ?」



だよね。
せめて1時間経ってからにしろよって思うよね。



「あっ……ほら、ずっと下向いてたら首痛くなるじゃん? 体のためにも少し休もう?」

「わかりました……」



咄嗟に出てきた言い訳だったが、納得してもらえた様子。

時間割いてくれているのに、俺のワガママで中断させちゃってごめんね。



「あのさ……何かあった?」

「えっ?」

「最近、元気ないなぁって思ったから。何か悲しいことでもあった?」
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