褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
芽生えた気持ち
東馬side



「────……ま……東馬!」

「んー……?」



仰向けになってうっすら目を開けると、部屋着姿の景斗が顔を覗き込んでいた。



「飯、できてるぞ」

「あー……わかった、後で食べる……」



返事をして目を瞑り、再び夢の世界へ。



「おい! 起きろって! 飯冷めるぞ?」

「んぁ……あと30分だけ寝かせて……」



あぁもう、現実に引き戻さないで。

まぶたが磁石のようにくっついて離れなかったので、目を閉じたまま返事をし、ゴロンと彼に背を向ける。


……ん?

人ん家にお邪魔してるんだから、ダラダラしちゃダメだよって?

言い訳に聞こえるかもしれないけど、ちょっと説明させてくれ。


意外にも景斗は朝型人間で、休みの日でも毎朝7時には起床してるらしいんだ。

昨夜の消灯時間は、確か11時だったかな。


日付が回ってから寝る夜型人間の俺からしたら、目が冴えてて全然寝つけなかったんだよ。

これでも一応、休みの日でも午前中には起きている。
だからもう少しだけ寝かせて。



「30分経っても起きなかったら────からな!」

「んー……」



ふわふわする意識の中で景斗が何か叫んでいる。

何言ってるんだろう。
「飯食っちまうからな!」とかかなぁ。

本当、食いしん坊だなぁー……。
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