褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「────東馬……い……」
ふわふわする意識の中で、遠くから誰かの声が聞こえた。
ん……? 俺の名前を呼んでる……?
それにしても、癒される声だなぁ。
まるで天使みたいだ。
でも……どこかで聞いたような……。
「────……東馬先輩っ!」
大きな声で名前を呼ばれ、反射するようにパチッと目を開けた。
「おはようございます、朝ですよっ」
「んぇ……?」
ボーッとしている頭をフル回転させる。
今、視界に入っているのは、天井と電気と壁掛け時計と……。
「っ……!」
な、な、なっ……!
「なんで実玖ちゃんがここにいるの⁉」
お腹にかけていたタオルケットで即座に顔を覆い、ゴロンと壁側に転がった。
最悪最悪最悪……っ!
ボサボサの髪の毛、むくんだ顔、テカった肌。
学校のアイドルの一欠片もない、ブサイクな寝起き姿。
こんなダサくてだらしない姿は、身内と心を許した男友達にしか見せたことがなかったのに……!