褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
引っ込み思案はもう卒業
翌日。痛みは少し引いたけど、念のため病院で診てもらった。

幸い軽傷だったため、安静にしていれば1週間ほどで治るそう。


ファッションショーまでには間に合うと知ってホッとした。



病院を後にし、そのまま母の車で学校へ。

3時間目が終わる頃に着いたので、4時間目から授業に参加することができた。



「実玖~! 無事で良かったよ~!」



バッグから弁当箱を取り出していると、可南子が正面から抱きついてきた。



「足は? 痛くない?」

「うん。そこまで酷くないから」



ギューッと抱きしめたまま、おばあちゃんのように「良かった良かった」と繰り返す彼女。

そのまま私の席で一緒に昼食を取り、3時間目までの授業内容を簡単に教えてもらった。


その後、可南子にケガをした経緯を説明すると。



「マジ、か……」



衝撃的だったのか、口に手を当てて絶句している。



「信じられない。自分が担当したモデルを突き飛ばすなんて……」

「あっ、いや、私が勝手にバランス崩して転んだだけだから!」



反論するも、可南子の瞳にはメラメラと怒りに満ち溢れた炎が。



「敵を庇わなくていーの! もういっそのこと、治療費請求したら?」

「ち……⁉」
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