お日さまみたいな温かい君に包まれて
7 温もりのない家
7月下旬。

梅雨明けと共に、学校は夏休みに入った。


今日は水曜日。
これから図書館に行って、社会の自由研究の宿題をする予定。


実は今日……雪塚さんも一緒なんだよね。


学生最後の夏休み。
何か思い出を作りたくて、考えを巡らせていたら、ふと、雪塚さんと夏休みの話をしたのを思い出したんだ。


「浴衣で夏祭りや花火大会に行く」は、既に決まっていたから、「図書館で一緒に宿題」が残っているなって気づき、誘ったのだ。


大きなトラックが横を走り抜け、むわっと生暖かい風が通りすぎた。



「うぁ~っ、あっちぃ~」



手持ち扇風機をバッグから出して稼働させ、バス停へ向かう。

まだ午前中だっていうのに、日射し強すぎ。帽子被ってきて良かった。


バス停が見えてくると、ベンチに人影を発見。



「あれ……? 雪塚さん?」

「あ、清水くん」



ゆるく巻いたポニーテールを風になびかせながら手を振る雪塚さん。

淡いピンクの小花柄のワンピースに、薄手の白いカーディガンを羽織っている。


可愛い~! って、なんで雪塚さんがここにいるんだ? 現地集合だったはずだよね?
< 122 / 239 >

この作品をシェア

pagetop