「───え?」
「だから、今日歌乃ん家泊まることになったから、夕飯要らない」
「要らないって……もう作っちゃったよ! ……あ、じゃあ歌乃ちゃん家に持ってく?」
「歌乃の作ったの食べたいから要らない」
「えぇぇぇ………」

歌乃ちゃんのお家は歌乃ちゃんが小さい頃にママさんが亡くなってるそうで、ご飯は普段から歌乃ちゃんが作ってるんだって。
だから時々作る程度の私よりも断然美味しいのは間違いないけど!
前に貰った煮物、すっごく美味しかったけど‼
だし巻き卵なんてプロじゃない⁉ って思うくらい美味しかったけど‼

でもでも、だからって健ちゃんひどい!
だったら歌乃ちゃん家行くって決まった時に言ってくれれば良かったのに!
って恨めしげにお鍋を見てたら、健ちゃんが信じられない事を言ってきた。

「じゃあハルにぃんとこ持って行きなよ。今日は寝てるとか言ってたし、どうせ夕飯だってコンビニ弁当だろうしさ」
「えっ⁉」
「もう鍋ごと持ってって一緒に食べちゃえば」

あとこの辺? と、健ちゃんは一緒に作っておいた副菜なんかをタッパーに詰めていく。
副菜はまとめて作っておいて明日からは楽しよーなんて思ってたから、そこそこの品数がある。

「待って、健ちゃん。お惣菜は今日いっぺんにってワケじゃ……」
「んー、まぁ余ったら持って帰ってくれば良いじゃん」
「それ何かおかしいよね⁉ そもそも、ほらっ! はーちゃんは私なんかが作ったの嬉しくないだろうし! すき焼き煮は明日頑張って一人で食べるから……」