泣きたい訳じゃない。
その後も何を話したかあまり覚えてない。
きっと私はずっと上の空だった。でも、それに気付がない程、拓海も上の空だった。

私達はこれからどうなっていくのだろう。

私は拓海が好きだ。信じてもいる。
拓海の気持ちを疑ったこともない。

なのに、不安になる。

私はいつからこんなに弱虫になったんだろう。
今の私は、全然私らしくない。

拓海がバンクーバーに旅立つ時に決めた覚悟はどこへ行ってしまった?

『拓海がいない時間も楽しむ。』って決めていたはずなのに。

私は泣きたい訳じゃない。笑っていたい。
拓海のためじゃなく、自分のためにも。

今の自分には何があるのだろう。
拓海と出会う前の自分はどんな事を考えていたのだろう。

ちゃんと向き合わなければ、前には進めない。
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