HEART ~second ~
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結愛side






星ノ宮高校に通い始めて1週間がたったとある学校帰り、私はリビングで龍太さんを目の前に固まっていた。




何故かって?



それは龍太さんに図々しくも、とあるお願いをしたからだ。




今はそれの返答待ち




静かな空間に龍太さんの凛とした声が響く



綺麗だけど、どこか切ない声。



龍太「部活したいって、なんの部活がやりたいんだ?」



「……オーケストラです…」



龍太「楽器はフルートか?」



私は黙ってコクりと頷き龍太さんを見つめる




私は中学の時にフルートという楽器をやっていた。どうしても姉の形見である楽器だけはそばに置いておきたくて、わがままでフルートだけは何とか元の家から取ってきてもらったのだ




だから龍太さんも私の音楽好きはおそらくよく知っている



でも私には再び音楽をやることが許されない理由がある



それはこの心臓。



医者である龍太さんはその綺麗な顔を歪ませて、沈黙の末にこう答えた




龍太「……結論から言うと、許可できない」



そう言われることは心のどっかでわかってた




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