わたしの幼馴染のるーくんは、かっこいい。

 顔が良くて、背が高くて、スポーツは万能で、頭もいい。ついでに気遣いもできる。
 これでモテない方がおかしいというスペックの持ち主なので、それはもうモテる。
 女子からは当然モテるけど、男子にも人気があるらしい(変な意味でなく)。

 小さい頃は病弱で、引っ込み思案で、男子からはいじめられ、ちょっとおませな女子には庇護対象にされ、それが原因でまたいじめられるという有様だったるーくんだ。
 成長したなぁ、と感慨深いし、幼馴染がたくさんの人に好意を持たれているのは嬉しい。

 ……嬉しい、はずだったんだけどなぁ。



「ねぇ、加賀美くんの好きな人って誰なのか、天ヶ瀬さんは知らない?」

「それ、よく聞かれるんだけど、ごめんね。知らないんだ」


 今日もまた、女子グループの誰がかっこいい誰が好きだのという話の流れで、るーくんの想い人について探りを入れられた。

 るーくんは、告白されると「好きな人がいるから」と断るらしい。
 誰を好きなのかと聞かれても答えないので、周りはるーくんと一番仲のいい異性、家が隣で幼馴染であるわたしに探りを入れてくるのだけど、残念ながらわたしは知らない。

 まあ、知っていたとしても、それを人に言うことはしないけど。個人情報を勝手に言いふらすのはよくない。

 「本当に?」と疑う同級生たちの視線から目をそらしていると、教室の入口から声がかかった。

「咲ちゃん。そろそろ帰ろう」

 話題の渦中のるーくんである。小さい頃はわたしより小さくて細かったとは思えないほどすくすく育ったるーくんが立っていると、教室の入口が小さく見える。
 大きくなったなぁ、なんて考えながら、同級生たちに別れを告げて、るーくんと帰路に着いた。