僕の幼馴染の咲ちゃんは、かわいい。

 小さくて、表情がくるくる変わって(みんなはどっちかって言うと無表情じゃないかって言うけど僕にはわかる)、ちょっと世話焼きで。
 僕にはいちばんかわいく見えるけど、他のみんなはもっとかわいい子がいるっていう。

 雑誌のモデルさんとか見せられたけど、咲ちゃん以外の女の子はみんな同じように見える。髪型が違うと同じ人でも別人かな?と思ってしまうくらいだ。
 そう口にしたら、「もうちょっと天ヶ瀬以外に興味を持て」と言われた。別に生きるのに支障はないし、どうでもいいと思うんだけど。


 今日は咲ちゃんと一緒に帰れる日だったので、そわそわしながら咲ちゃんを教室まで迎えに行った。
 クラスメイトと話してたみたいだけど、帰る準備はしていたみたいで、すぐに教室を出てくる。

 咲ちゃんは、中学校の中頃から、ちょっと僕と距離を置こうとするようになった。
 その頃には、幼馴染だとかでもちょっと疎遠になる方がふつうだったので、周りの目があったんだろう。
 かくいう僕も、小学校で同級生に咲ちゃんといつもいることをからかわれたときは離れようとした。思春期ってそういうものだ。

 でも僕は、中学に入って成長期に入るまではちょっと虚弱体質で、喘息とか貧血とか起こしていたから咲ちゃんは心配だったんだろう。
 どんなに離れようとしても、「るーくんが倒れた時に、周りに誰もいないのは嫌だから」とか言って追いかけてきた。
 結局僕も、咲ちゃんが嫌いになって離れたかったわけじゃなかったから、離れるのはやめた。


 その時から、僕と咲ちゃんの関係はそんなに変わってない。
 毎日一緒に帰っていたのが、週に1日減り、2日減り、一週間に一度になったけど、『ちょっとこの年頃にしては仲が良すぎる』幼馴染のままだ。