寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
第2話 子供作らない?
そして、保さんの屋敷に着いた。

父の屋敷に比べたら小さいけれど、それでも私と母が住んでいたあばら家よりは広い。

「今日からここが、小花の家だよ。」

「うん。」

大きな玄関の前に立つと、中から人が扉を開けてくれた。

「お帰りなさいませ、坊ちゃま。」

「ただいま、徳次郎。父は?」

「書斎におります。」

「ありがとう。」

私も一緒に入ろうとすると、徳次郎と言われた人が、私を止めた。

「坊ちゃま。この方は。」

「僕の友人だ。妾になってもらう。」

徳次郎さんの眉がぴくっと動いた。

「失礼しました。」


さっきまで私の事疑っていたのに、急に私に頭を下げる人。

仕方ないよね。

この身なりじゃ。


「徳次郎。後で橋本様から着物が送られてくるから、それは全部この小花に。」

「承知しました。」

私は徳次郎さんに頭を下げると、急いで保さんに付いて行った。
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