旦那様は征服者~帝編~
絶縁
今買い物中。
行きたかったなぁ~同窓会。

「あれ~紫織?」
「え?花江?」
「キャー紫織だぁ。久しぶり~」
「ほんと、久しぶりだね~」
「買い物中?」
「うん」
「主婦は大変だ(笑)!」
「まぁね」
「同窓会は?来るんでしょ?」
「あ、行けないんだ…」
「え?そうなの?残念……白城くん来るみたいだよ?」
「え?白城くん?」
ヤバい…会いたい……
でも無理だな……二度と。

「紫織?」
「あ、ごめん…」
「会わせてあげようか?」
「え…?」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「紫織…」
「白城くん……」
白城くんはあの日のままだった。

白城くんは高校の時の恋人だった人だ。
卒業を機に、離ればなれになるからと別れたのだ。

「紫織。結婚したんだ?」
「うん」
「そっか。残念だな…俺が結婚…したかったな」
「またまた~白城くんは?」
「今は、仕事人間だよ」
「そっか…」
短い会話だが、私達にとってはそれが普通なのだ。

こんな風会ったこと、帝が知ったら私はもう外には出してもらえないだろう。
それでも会いたかった。
それくらい好きな人だったから。

もちろん帝を愛している。
でも白城くんも、とても大切な人だったのだ。

私達はただ━━━
お互い見つめ合っていた。
「フフ…何?恥ずかしんだけど?」
「目に焼き付けておこうと思って…もう二度と外には出れなくなると思うから……」

それくらいの覚悟をもって、私はここにいる。
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