白西国の商家の娘、犀花(さいか)は父の友人に頼まれ、形だけの瑞獣の巫女姫として後宮へ入る。
瑞獣は幸運を呼ぶ伝説の生き物。巫女姫は瑞獣と心を通わせ力を発揮させる存在。両者が揃うと国が繁栄すると言われている。
白西国では二十年前に、瑞獣が現われる兆しの瑞雲が見られ、第一皇子の曄元(ようげん)が瑞獣憑きという噂だった。しかし曄元は瑞獣伝説に否定的。自分は瑞獣憑きではないし、ニセモノの巫女姫など不要なのでさっさと宮城を去れと犀花に冷たい。
犀花は祭事を一人でおこなうしかなく、ストレス解消は趣味の織物。しかしある夜、織物部屋に白い大きなもふもふが寝ており、犀花が触っても起きず、その手触りの良さに感動して抱きついて眠る。翌朝目覚めると曄元と抱き合っており、犀花は焦る。どうしてそうなったのか曄元にもわからない。
それを機に打ち解けた二人はお互いの考えを語り合う。曄元は瑞獣伝説を盲信して滅びた国を知っているので、白西国にそうなってほしくない。犀花は、この国に瑞獣がいると思うだけで頑張れる人がいるなら、その思いを護りたい。
犀花の願いを汲んで、ならば形だけと曄元も祭事に参加してくれることになり、二人の距離は徐々に近づく。しかし曄元の弟の翔來は、犀花を排除しようとする。彼によると曄元は本当に瑞獣憑きで、幼い頃に本物の巫女姫と出会っており、彼女を亡くしたので力を発揮できないが、今でも大切に思っているらしい。犀花はショックを受ける。
祭事に行き詰まり、今までのように曄元に相談することもできず、アイデアを得るために瑞獣に関わる祠を訪れるが、そこで怪しい集団に襲われる。
助けてくれたのは曄元で、犀花は彼の取り乱しようが申し訳なくも嬉しい。祠で見た瑞獣の壁画に、自分が宮城でよく会うもふもふが似ていた話をすると、曄元が動揺。それは彼が幼い頃、瑞獣憑きの力を自由に使って変化していた姿と同じらしい。
ならばあのもふもふは曄元かと驚く犀花に、彼もまた、犀花は本物の巫女姫で幼い頃に出会った少女であり、生きていたのかと驚く。
昔も今も犀花を攫おうとしたのは瑞獣の盲信集団で、他国へ奪おうとしていた。犀花と曄元は瑞獣の力を発揮し、彼らの撃退に成功する。
こうして、ニセモノのはずが本物だった巫女姫の犀花と、瑞獣憑きの皇子である曄元は、お互いを何よりも大切な存在として寄り添い、白西国には伝説通りの隆盛が訪れる。

この作品のキーワード
中華風  もふもふ  ファンタジー  溺愛  身分差  後宮