バイタルサイン
世界から神様が消えた日
僕はベッドで眠っている彼女をみている。色がない。
凍結、悴む手が震えていた。
時間だけがすぎていく。「午前三時」

首が締め付けられてるみたいに苦しい。溢れ出る憎悪が胸を灼く。
焼失、こんな心が醜い。
こんな僕でも救えるのかな。愚図な僕でも救えるのかな。

君の声が、顔が僕の記憶を揺らす。それが消えてしまう世界などいらない。

君に僕の夢を託すことを許して欲しい


「また、巡り逢いましょう。」

そっと僕の心を君に受け渡す。
目が覚めたら悲しむかな、それとも怒るかな、
そんな君の姿が目に浮かぶ。その度に別れが辛くなる。意識が白へと溶けていく気がした。
願わくば
   「幸せであれ」
        とこぼす。



君は目を覚ました。心を呑んだ君は問う。
「この身体が貴方を奪ったの?」
泣き腫らした目で何度も問う。
「貴方がいない世界に意味はあるの?」
暗い部屋君はずっと問い続けてる。 


まるで「あの日」の僕のようだ。僕は今更犯した罪に気付いた。その痛みを誰よりずっと知っていたはずなのに。彼女を同じ痛みを背負わせてしまった。浅はかで自惚れた僕の罪。
心の古巣が軋んで痛んだ。
叶うのなら
   「一抹の声」
        届けたい。





明け方の部屋。
忍ばせたメスを手に、彼女の首筋へと宛てた。
僕は手を伸ばすけどすり抜ける。
ただ叫ぶ。
帳揺れる。風が吹く。
金物の鈍い音が響く。
これが僕の最期の胸懐。

「伝えるよ。」

もう、身体はないけれどこの想いは君の心。
そこに置いていくから。

「どうか、共に生きてくれ」

と、囁いたその顔は淡く、穏やかだった。


朝日が射す部屋で流れ落ちた涙の意味をずっと抱きしめている。

一人、君の胸の奥、重なった心拍は揺れている。


「貴方は私に理由を与えた」
 一言を零して、

微笑む彼女のほのかな姿は


昔日の彼によく「似ていた」


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