暗い路地だった。
 地面に花を置き、手を合わせる。
 がやがやとした喧騒が遠く聞こえてくるそこが、友人の死体が発見された現場だった。

 中学で知り合い、就職してからも連絡を取り、約束をしては会うような間柄の友人だった。
 女性ばかりを狙った連続殺人、の被害者の一人として目されているらしい。
 現場検証も終わって、封鎖も解かれたそこに、凄惨な空気はない。
 当たり前だ。殺害現場はここじゃない。別のところで殺されて、ここに運ばれたというのだから。

 その連続殺人の特徴は、女性ばかりが被害者であること。
 死後間もなくして子宮を含む腹部を掻き切られ、抉られていること。

 死因に一貫性はないという。現在判明している死因には、毒殺も、絞殺も、刺殺もあるそうだ。

 ――……友人は、心臓を一突きだった。


 立ち上がり、現場に背を向ける。

 友人とは、彼女の足取りが不明になった日、食事に行く予定だった。
 帰宅後、彼女の家から少し離れているこの街まで来たところまでは確認されているらしい。
 約束の時間になっても現れず、連絡もつかず。
 彼女は家族とも疎遠で、親しい人間の数も多くなく、彼女の家は少し遠方で、安否を知る術がなかった。
 事故にでも遭ったのではないかと心配する日々を送っていたら――ニュースで凶報を知ったのだった。