丸重城の人々~前編~
「広子さん!みんな揃いました!」
「わかったわ!すぐ行くわ!」
「あの…どうしましよう…お酒とおつまみ」
「まぁおそらく市子ちゃん、きついこと言われるだろうけど、我慢して?できる限りフォローするから」
「はい…」

「なんだよ?これ?」
「ちょっと間違えたの!文句言わずに飲みなさい!」
「つまみもこれじゃねぇよ!」
「はぁーだから!我慢しなさいよ!大翔と中也」
案の定、大翔と中也が文句を言い出した。

「いいでしょ?二人とも。今日はこれで我慢しよ?」
柚希も必死に説得している。
「やだよ!だったら、なんで柚希に聞かねぇんだよ!コイツ。
勝手に行ったコイツが悪いんじゃん!」
「だな!あり得ない!疲れて帰ってきて、この仕打ちはない!」
「大翔まで!やめて!初めてなんだから、間違うことあるでしょ?」
「そうだよ?だったら、俺のウイスキー飲む?翔と中也」
「は?もうウイスキーは、勘弁!また間違って柚が飲んだらやだし!」
「俺もビールがいい!」
「だったら、ワガママ言わずに飲みなよ!ウザいよ!兄弟」
「はぁぁ!?玄に言われたくねぇよ!お前はちゃんと自分で用意してるくせに!」
「俺は、いつも常備してんの!文句があるなら、自分で買いなよ!」
「ちょっと、三人とも、やめて!!」
「柚は黙ってろ!」

「柚希!こっちおいで?」
「あ…響ちゃん……」
響子と将大は少し離れた、ソファーに座っている。
「ほっといて、こっちで飲みましょ?」
「うん……」
「広さんも、市子さんも、こっち!」
< 155 / 162 >

この作品をシェア

pagetop