丸重城の人々~前編~
丸重城の朝は慌ただしい。

まずは四階、中也の部屋。
「おはよう。朝よ」
クイーンベットに寝てる中也。
カーテンを開けながら、起こす。
「んぁ…。朝か」
「もう朝食はできてるわよ」
「へーい」

続いて三階、響子の部屋。
「おはよう」
「おはよう、広さん」
響子は夜の仕事してる為、朝食を食べてから寝る。
だいたい起こしに行くと、ソファーでハーブティーを飲んでいる。


そして最後は二階、大翔夫婦の部屋。
ここが一番大変だ。
「おはよう」
この夫婦はセミダブルのベットで寝ている。
お金がないんじゃない。
くっついてたいと言う、どっかで聞いたことのある理由からだ。
カーテンを開けながら言うと、
「ん…あ、おはようございます、広子さん」
「朝食できていますよ」
「はい、すぐ行きます。
大翔ー、起きてー」
「んー。柚がチューしたら、起きる!」
…って私、ここにいるんだけど。
と広子は思う。
「やだよ。広子さんいるし…もう朝食できてるって!だから、早くしなきゃ広子さん困るでしょ?」
「やだ。柚がチューしないと起きない!」
この駄々っ子!子どもか!

「二人はもうダイニングにいるから、よろしく。朝食は四人でとお願いしてるでしょ?」
「そうだよ!大翔。お願い!」
「へいへい。柚が言うなら起きる」

はぁー朝から疲れる。この夫婦。
てゆーか、大翔が。
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