丸重城の人々~前編~
「でも柚は、行きたいんだろ?」
リビングのソファーに並んで座っている、大翔と柚希。
「うん…だって大翔と海もプールも行ったことないし」
「じゃあ行こうか…!」
「いいの?」
「その代わり、無理はしないって約束して?」
「わかった…!指きりする(笑)?」
「フフ…可愛いなぁ。いいよ!」
大翔の長い指が、柚希の細い指に絡んだ。
「嘘ついたら、キス責めね!」
「え////?」

「そこ!あちぃよ!
てか、それ、俺も行きたい!」
二人の間を、割って入る中也。
「うん!みんなで行こ!」
「そうね、初めてだもんね!みんなで旅行なんて!」
「うーん。私はお留守番するわ!」
「え?広子さん?一緒に行きましょ?」
「そうよ、広さん!コテージみたいになってて、五人まで宿泊できるのよ?お金なら大丈夫よ!お客様の招待だし」

「フフ…ありがと!気持ちだけいただいておくわ。若い四人で楽しんできて?私は久しぶりにゆっくりさせてもらうから!」
「そう?じゃあお土産買ってくるから!」
「フフ…ありがとう!」

「じゃあ柚希、水着選ぼ?今日頼めば、明日には届く筈だし!」
「うん!」
「え?俺も!」
「大翔も、一緒に!」
「でも刺青あるから、ダメなんじゃねぇの?」
「Tシャツで隠せば、問題ないみたいよ!」
四人でわいわい水着を決めている。
その姿を微笑ましく見る、広子だった。
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