丸重城の人々~前編~
更に抱き締める力を強くする、大翔。
「大翔?」
「俺みたいな男に、真っ白で純粋な柚が嫁になってくれた。もったいねぇよ…俺には…」
「そんな…」
「俺を選んでくれた時、スゲー嬉しかった!
でも、その分怖かったけどな…」
「怖い?大翔が?怖いものあるの?」
「そりゃあるよ!柚のこと好きすぎるから、逆に傷つけたらどうしようって……。
大切にしたいのに、壊さないかなとか」
「フフ…そんな壊れたりしないよ、私」
「それはかなり俺が抑えてるから…」
「え?」
「俺、柚のこと壊す自信あるよ。だから柚を抱いてて、手が震える時がある。歯止めが効かなくなって、訳がわからなくなって、狂いそうになるから。
いつも理性なんて、とっくにぶっ壊れてるから」
大翔は胸が苦しくなり、目を閉じた。

「大翔…」
「ん?」
「そんな苦しそうにしないで…?大丈夫。私は壊れたりしないよ。
あ、でも、離婚したら壊れるかも…?」
「あーそれは俺の方が無理。たぶんそうなったら、柚のこと監禁すると思う。それで縛り付ける。逃げられないように」
「監禁……。
それは怖いな…」
「だろ…?だから自分が怖い」
「大、翔…?」
「フフ…大丈夫。そんなことしないよ…。
………柚が俺から放れなければ…」
最後呟くように言う。

「え?ごめん…最後、聞こえなかった…」
「ううん。なんでもないよ…。
柚、愛してるよ…!」
「うん…私も…」

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