丸重城の人々~前編~
四人の過去
その頃の三人。
「柚希に何て説明すんの?」
明るくなりかけてる、空を見ながら中也が声かける。
「正直に話すしかないわね。早苗さんがやったこと」
「だな。柚をまた傷つけたな……」
「そうね……私達は傷つけてばかりね…昔から」
「あぁ」

この三人が柚希にこれ程まで、大切にするのには理由がある。
大翔と中也は一目惚れしたからとゆう理由があるからだが、響子は違う。
柚希と響子。
普通に考えれば、合わない二人。
でも境遇が似ている。
柚希も響子も、家族からの虐待の経験がある。
柚希は母親の再婚相手の義理の父。
響子は年の離れた兄。
中学の時に、知り合った二人は同じような苦しみを抱えていて、すぐに仲良くなり二人で姉妹のように寄り添って生きてきた。
その頃から響子は、のちにレディースとなる仲間達とつるんでいて、そこに柚希も行くようになっていた。
でもある日、響子が正当防衛で兄を殺してしまう。
その事実で親戚や周りの人々が、響子から離れていく。響子もレディースに正式に所属し、その仲間達と過ごすようになる。でも仲間達でさえ、裏切りや騙しあいがある中、柚希だけはずっと響子の傍にいて離れなかった。
響子も柚希を騙して、傷つけたこともある。
柚希が対人恐怖症になったのも、義理の父からの虐待と、響子やレディースの仲間達の裏切りがあったからなのだ。
それでも響ちゃんはほんとは優しい人だから。と傍を離れず、ほんとは一番苦しんでるとずっと支えようとしてくれたのだ。

だからこそ響子は、今度は私が支え病気も克服させてみせると、誓ったのだ。
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