森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される

 家へ向かいがてら、ロキースは改めて魔獣について話した。

 これ以上エディに無駄な心配をかけたくないということもあったし、なにより、彼自身のことを知ってもらいたかったのかもしれない。

 魔獣は、人に惹かれる性質を持っている。

 その性質があるために、理性のある魔獣は人に恋をして、理性のない魔獣は恋情をすっ飛ばして「人を食べたい」という食欲に繋がってしまうのだ。

 食欲のままに、理性のない魔獣が人を襲う。

 それによって、人は魔獣を警戒する。

 人からしてみたら、目の前にいる魔獣に理性があるのか無いのかなんて分からない。

 結果として、本能のままに人を喰らおうとする理性のない魔獣のせいで人は魔獣を恐れ、忌み嫌い、時に討伐し、稀に恋を実らせるという歴史が続いてきた。
< 259 / 390 >

この作品をシェア

pagetop