森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
二章

「こんにちは、エディ」

 深みのある美声で、ロキースはディンビエらしい挨拶をしてきた。

 いつものように日当たりの良い屋根の上で欠伸をしていたエディは、吐き出していた途中の呼気をごくんと飲み込む。

「え……ロキース、さん?」

 慌てて起き上がって階下を見れば、ハニーブラウンの髪が秋風に揺られてフヨフヨしている。

 チェック柄のおしゃれな帽子は耳を隠すためだろうか。なかなか似合っていた。

「ロキース、で良い」

 そう言うと、ロキースはあるかなしかの笑みを浮かべた。微笑と言うには、あまりにもささやかな笑み。

 だが、エディの目には、それが大人特有の渋みのある色気のように見えて、胸が勝手にドキドキと脈打った。
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