平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
三章 揺れる乙女心と謎の少年


青い空が、目に眩むほど澄んで見えた。

それは、どこか遠い昔を思わせるような色合いだった。世界は鮮やかで、息を呑むほどに広大な淡い緑の大地が広がっている。

一頭の、とても大きな白い獣の夢を見た。

たくましい四肢が大地を蹴り、その爪をめりこませぐんぐん前へ進んでいく。その様子はとても優美でもあった。

彼は、戦士なのだ。

女王の声を聞き、山に住まう白獣たちを守り続ける、誇り高き戦士。

「我らが、幸運の娘」

駆ける獣の紫色(バイオレット)の目が、猛然と過ぎる山の風景を映している。

獣の表情は分からない。けれど見慣れた白獣の瞳は潤い、だからより風景を反射しているのだろう。

そして呼ぶ声には、迫るような思いが込められている気がした。

――その獣は、切ない思いで「幸運の娘」と呼ぶ。

「なぜ。どうして」

咆哮を上げた獣の〝声〟が聞こえた。

怒りと、悔い。強烈なそれらは、叫ばずにはいられないほどの悲しみがあったせいだった。

嘆く獣の声がする。痛いほどに呼ぶ。

そんなのは嘘だ、どこにいらっしゃるのですか……と。

ただの夢なのだ。獣の声が聞こえるはずがない。でも、どこかの地で起こった遠い過去のようにも見えた。

獣の咆哮が、落雷のように空気を震わせる。

それはもう会えない誰かの名を、切々と呼んでいる気がした。



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